『名人木村徹量の継承者 神田唯憲の節談』出版のお知らせ
この度、当研究会副会長・相愛大学人文学部仏教文化学科教授・文学博士直林不退著『名人木村徹量の継承者 神田唯憲の節談』を出版致しました。
木村徹量師は広島県本願寺派光泉寺住職にして、播州東保の福専寺獲麟寮に学ばれた後全国を布教され、明治大正を通じて本願寺派随一と称讃された説教者で、その説教の巧みさはいまだに説教界に語り継がれております。しかし残念ながら、音声を録音することが容易でなかった時代のため、実際の説教に接することがいままで出来ずにおりました。
このたび直林博士は、木村徹量師の直弟子・神田唯憲師のご子息である光憲師を通じて、その遺された資料を掘り起こし、詳しい解説をつけて上梓されました。それによって永らく幻であった木村徹量師の説教を、窺い知ることが可能となったのであります。その中でも特に木村師の懇切な指導を書き込んだ布教材料ノートは、読者に木村師の指導を直接感ぜしめるものであり、そして特別付録として添付した神田師の説教録音CDは、「御伝鈔くずし」と呼ばれた徹量節を推測するに十分な資料であります。また大谷光瑞宗主によって、武庫中学で近代教育を受けた神田師が、布教現場で伝統的説教の大家である木村師を師として選んでいった過程は、近代的知性というものについて、もう一度考えさせられるものがあります。
本来説教という音声によって成り立つものは、その一瞬に消えていくため研究対象にしがたく、資料として残されにくいものであります。しかし布教現場ではそういった先人の弁舌技法や、その内容を構築していく努力、それを完成させる修練など、現在でも学ぶべきものが多々ございます。今回偶然にもこの資料が発見できたことは、まさしく僥倖であったと申せましょう。
多様化する現代社会の中で、如何にして真宗法義を多くの人々に聞いて頂くかという問題に直面する時、この書が一つの方向を示してくれるものと確信致しております。
ご購入は下記までお申し込み下さい。
節談説教研究会事務局
193-0824東京都八王子市長房町798-1
TEL042-666-6038
FAX042-666-6605
E-Mail:honjoji@tbp.t-com.ne.jp
『名人木村徹量の継承者 神田唯憲の節談』
相愛大学教授・文学博士 直林不退 著
節談説教研究会 発行
2014年1月31日第1版第1刷発行
A5版154P+口絵6P
特別付録CD(収録時間63分30秒)を見返しに添付
定価(本体3000円+税)
ISBN987-4-9907605-0-2 C0015
©2014 Naobayashi Futai Printed in Japan
中扉題字 光明山光圓寺第16世神田光憲師
口絵写真
光圓寺本堂・同山門
神田唯憲師
若き日の唯憲師・有髪洋装の姿
木村徹量師肖像
「贈東西両本願寺説教大家当選者」五条袈裟
布教日誌
布教材料集『櫻■』
(いずれも奈良県五條市光圓寺蔵)
目 次
序 釈 徹宗
はじめに
第1章 神田光憲師との出会い
第2章 光圓寺のあゆみ
第3章 光圓寺の所蔵資料
第4章 少年時代の唯憲師と武庫中学
第5章 鹿児島別院への赴任
第6章 「聞け・書け」の実践『説教筆記』の検討
第7章 木村徹量師とのめぐりあい
第8章 独立と帰郷
第9章 『布教日誌』をひもとく
第10章 布教先の変遷
第11章 布教材料ノート『櫻■』
第12章 布教材料の入手経路
第13章 布教材料の分類
第14章 亀山本徳寺での説教録音
むすび
付録資料
①布教材料ノートに見る徹量師の指導 翻刻・高原定純
②亀山本徳寺での説教 翻刻・蕚 慶典
あとがき
特別付録
まぼろしの木村徹量師『御伝鈔くずし』の節が偲ばれる
CD 説教「五濁悪世のわれらこそ」
前席(33分24秒)・後席(30分06秒)
口演 神田唯憲 1955年1月16日 姫路市亀山本徳寺にて収録
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