機関誌『節談説教』第9号ができました。
巻頭は、藤野宗城先生の「若き説教者への口伝」です。これは本年2月の第三回節談説教者育成セミナーでの特別講義をまとめたもので、先生が長年布教の現場で培われてきた布教使としてのノウハウを、これから布教を志す若き僧侶のために、口伝されたものです。項目だけを挙げますと、【先ずは高座説教から】【経験からのアドバイス】【休憩に寝られる布教使になれ】【説教は御法義のお取り次ぎ】【説教は解りやすく】【お念仏を引き出す節談説教】【節の学び方】【自然に節に入る】【得意の妙弁を持て】【年齢に応じた話し方】【節のいろいろ】【声は破るな】【節は生きもの】【得意の話になるまで何度でも話せ】【説教は締めて終われ】【讃題の称え方】【時間帯によって話を選べ】【聴け書け語れ】【違和感のない節を】【会所寺院をネタにするな】【登壇前の準備】【難しい質問には無理に答えるな】【登壇の作法】【中啓の使い方】【終了時間を厳守】【説教の依頼にはまず返事を】【到着時間のタイミング】【会所寺院に負担をかけるな】【キャリーつき鞄は要注意】【足袋はワンサイズ大きめのものを余分に】【身綺麗にせよ】【食事作法など】【風呂の入り方】【控え室での心得】【必ず礼状を】【終わりに】と隅々にまでわたっています。
相愛大学準教授である直林不退副会長のライフワークの一つ、「節談説教者の遺跡を訪ねて」は、大正時代に東保福専寺の「獲麟寮」と並んで説教者を輩出した、浪速説教所「獅子吼寮」の主催者遠藤了義師の自坊金乗寺を取り上げました。9ページに及ぶ力作です。
また明治から大正にかけて活躍された布教使、善澤寛成師の『序弁百集』を現代語訳して掲載しました。「序弁」とは讃題に続いて、聴聞者に向かって心静かに聴聞するよう促すために、和歌などを引いて短く弁ぜられるものですが、少ない言葉で御法義と関連づけて話すテクニックは、学ぶべきところが多いものです。
名作因縁談発掘は、謡曲「鉢木」を材料とした「北条時頼と佐野源左衛門」を取り上げました。説教において最も大事な合法の仕方が学べる作品です。
谷口璽照師の『安心説教』は今号の第17席・18席でひとまず完結しました。
全87ページのボリュームです。
第8号までは某出版社を通じて市販しておりましたが、今号から市販をやめ会員・会友への限定配布としました。購読希望の方は、研究会事務局までお申し込みください
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