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2006年11月 7日 (火)

節談説教をご存じですか?

節談説教と云う言葉を聞かれたことがありますか?

これは浄土真宗に伝えられてきたお説教で、現在芸能として皆さんがよく知られている講談、落語、浪曲の源流ともいうべきものです。

江戸時代、幕府は宗教界支配のため、寺請け制度というものを定めました。すべての人間は、必ずどこかの寺に、檀家として属さなければならないという定めです。この事によって寺院は経済的には安定し、檀家の上に安住することとなりましたが、同時に宗教活動の沈滞を招きました。だって何もしなくても檀家は逃げず、黙っていても収入があり、新たに信者の拡大のために努力する必要が無くなったのですから。

しかし他の教団のように、出家者が修行をし、在家信者は難しいことは考えずに、出家修行者を供養する立場に立つのとは違って、在家信者自身に厳しく信仰生活を求めてきた浄土真宗は、そんな時代に於いても在家信者の信仰を向上させようとしました。そのため各地方の寺院を、説教者と呼ばれる布教使が巡回し、法談と呼ばれる説教の場を設け、信者の啓蒙に力を入れました。そのため浄土真宗だけは、江戸時代を通じて宗教的沈滞を免れたのです。

この説教者達が、その法談の席で行ったものが、節談説教と呼ばれるものです。節談説教は、まずお経や開祖親鸞聖人・中興の蓮如上人の著作の一部を、読み上げることから始まります。これで今日の説教のテーマを示すわけです。そして次にその文句の解説がなされます。そしてその解説を文字すら知らぬ信者がわかりやすいように、例え話や因縁話を面白可笑しく聞かせます。そしてみんなが理解をした頃に、まとめとして信心の大切さを説いて一席の説教が終わります。

その説教の中で、説教者のほとばしる感動から、言葉に抑揚がつき、それが昂じて浪曲のような節が生まれました。信者はこれを聞きながら、まさに法悦の世界に入っていったのです。難しい言葉で頭に理解させるのではなく、聞きやすい言葉で情念に訴えていたのです。

この節談説教は、昭和30年代までは全国で盛んに行われていました。各寺院で説教があると、多くの人々が集まり、群参と呼ばれるように本堂一杯の聴衆となったのです。都会の寺院では、寄席や演芸場と張り合うほどで、特に力のある説教者が来ると、お客が説教の方に来てしまって、近くの寄席は閑古鳥が鳴いたとまで伝えられています。

そんな人気を博した節談説教も、戦後教団の中央から「あまりに芸能的すぎる」「もっと学問的な話をせよ」などと批判を受け、ついには本山の指示として、節談自粛が通達されてしまいました。そのため説教者達も、それまでの節のある説教を止め、学校の先生が講義をするような法話に変わっていったのです。しかし信者の気持ちは正直です。節のある説教を止めて、節の無い法話に変わると同時に、寺院には聴衆が集まらなくなってしまったのです。こうして節談説教はそれをする人もなくなり、段々と忘れられたものとなってしまいました。

この消えていこうとしている節談説教の魅力に気づいて、何とかこれを残そうと努力されたのが俳優の小沢昭一氏です。氏は当時まだ各地で細々ながらも説教者によってなされていた節談説教を探し求めて録音し、昭和49年日本の放浪芸シリーズの第三弾「また又日本の放浪芸節談説教」(LPレコード6枚)を世に問われたのです。これはたちまち反響を呼び、節談の魅力を多くの人々に知らしめたのでした。

しかしその後これを継承する説教者も亡くなっていき、いま現在全国で節談説教をする説教者は20名を切ってしまいました。いまや絶滅の危機に瀕していると云って過言ではありません。関係者の間では自嘲気味に「ラムサール条約で保護して貰おうか」と云う冗談も囁かれています。

この事に危機感を持たれたのが、日本の話芸史研究の第一人者仏教大学名誉教授関山和夫先生です。このままではこの大切な伝統話芸が消滅してしまう。何とかこれを継承し節談説教を復活させる者はいないのかと、ことあるごとに呼びかけられていました。

この関山先生のご指導のもとに、宗派を超えて節談復活を目指す布教使が集まったのが節談説教研究会です。

明年7月3日東京築地の築地本願寺本堂に於いて、現存する節談説教の名人達を招いて節談説教布教大会を開催します。講師は小沢昭一氏のレコードにも出演されている広陸兼純師をはじめとして、全国から6名の現役節談説教の布教使をお招きし、節談説教の魅力を存分に味わっていただくつもりです。入場は無料です。

問い合わせは、下記まで。

TEL 042-666-6038 本浄寺

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